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等身大の働き方やキャリアについてのメンバーインタビュー・NPO法人こだまの集い代表理事 室津瞳さん

私達の杉並区西荻窪にあるコワーキングスペースfactoriaには、起業家、フリーランス、国内外の法人代表や社員、テレワークやリモートワーク中の会社員、副業を兼任し複業をしている会社員と多様な働き方やキャリアを現在進行形でつくっている人達が集っています。

今でこそ、自分らしい働き方やキャリア形成をしているように見える彼らも、過去には思い悩んでいたり、不安に感じたりといった日々があるはずです。 そんな彼らが現在の働き方やキャリアに至った背景や経験談をインタビューし発信していくことで、今、悩んでいる人達に一筋の光明が差すキッカケをつくりたいと考え、コワーキングスペースfactoriaに集うメンバーの協力を得て、シリーズをスタートさせることができました。


シリーズ4となる今回は、介護士として10年間、看護師として7年間従事し、2019年に介護と育児が重なるダブルケアという社会課題を解決するためにNPO法人を設立した室津瞳さんにお話を伺っていきます。 ぜひ、この機会にダブルケアというものがどういうものなのか。その解決のために、力を注いでいる身近なロールモデルの存在を知って頂き、瞳さんの活動を必要としている人達に届くキッカケとなれば幸いです。 それでは、瞳さんにお話を伺ってまいりましょう!

 

今どんなことをされていますか?自己紹介をお願いします。 子育てと介護が同時に重なるダブルケアの支援制度の整備を目指すNPO法人こだまの集いの代表理事をしています。

現在、ダブルケアは3人に1人が経験するという社会問題になっているのですが、社会の支援制度が整っていないのが実情です。 ダブルケアは個人で抱えるには大変過ぎるので、当事者の声を医療や介護などの支援者や行政に届け、ダブルケアに直面する現役世代が働き続けることができる仕組みつくりを目的としています。

プライベートは、夫、5歳の娘、1歳の息子の4人家族です。


NPO法人を何名で運営されているのですか?

NPO法人の設立要件として社員(※NPOの場合は、構成員や正会員といい。議決権を持ち法人の意思決定に参画する)10名以上が必須なため、現在は10名の子育てから介護までの専門家チームで運営しています。


 

NPO法人前のキャリアや働き方は?

介護福祉士養成校を卒業後、介護職として特別養護老人ホームやデイケアなどで10年間勤務していました。

29歳で看護師の学校に再入学し、卒業後は正看護師として、政策医療機関である独立行政法人の国立病院機構の呼吸器内科で5年間勤務、その後、杉並区にあるデイサービスで2年間勤務していました。 なぜ、介護士から看護師の免許を取得しようと思われたのですか? 理由は3つあります。

1つ目は、特別養護老人ホームに勤務していた時に、急変時の対応に当たる経験が多くあったのですが、医療的知識を身に着けることで結果は変わらずとも、目の前の人(入居者さん)に対する救命措置や急変時の対応などの幅が広がると思ったこと。

2つ目は、経済的に生涯年収を考えた時に、看護師の方が年収が高かったからです。

3つ目は、対人援助、例えば入居者さんの日常のケアを行う上で専門性を突き詰めたいと考えた時に、当時の私は介護分野では専門性を見出しにくいなと思うことがあり、看護の方が小児科や心臓外科、呼吸器内科などと領域別で専門知識や具体的な治療方法、対処方法などが確立しているため、専門性を突き詰めやすいのではないかと考えたからです。

 

小さなお子さんの育児と仕事を両立するのは大変だったと思うのですが、これまではどんな働き方をされていたのですか?

看護師として病棟勤務していた頃が一番大変でした。急性期からターミナルケアまでを担っていて、日勤の場合は、始業前の朝7〜8時前には職場に行き、夜7時のお迎えにギリギリに滑り込むという感じでした。

 

介護士、看護師を経て、NPO法人を設立された背景やキッカケを教えていただけますか?

2017年に私自身がダブルケアを経験したことがキッカケです。 当時は、3歳の娘、息子を妊娠中、父の末期ガン介護、母の入院、フルタイムでの仕事もしていて、子育てだけでも大変なのですが、そこに両親のケア、お腹の子のケア、妊婦である自分のケアと5つの命をケアしなければいけない状況になりました。

そんな中、医療職や介護職目線でも当事者に支援が届かないという状況に気づき、どうやったら仕事と育児と介護を両立できるのか?模索していましたし、まだ行政の支援制度も確立されていないという状況でした。

しかし、私と同世代の3人に1人がダブルケアを経験していたり、直面しているという事実を知り、決してマイノリティではないと思いましたし、ダブルケアが理由で仕事を辞めざるを得ないリスクのある社会を変えていきたいと考え、当事者の声を集め、行政に提言したり、子供から高齢者までが集える場所やコミュニティをつくりたいと思い、起業しました。


 

NPO法人の事業はスタート時から順調でしたか?

これまで誰も取り組んでいない事業ということもあり、事業化するのが難しいので収益構造については今も悩んでいるのですが、国の方針として、介護は在宅ケアにシフトしており、地域包括支援ケアシステムという、地域でまるごと助け合える多世代の仕組みつくりを目指そうとしています。施設介護で高齢者をケアし続けていく過去のあり方だと、介護職も少なく財政的にも厳しいからという背景があります。

当法人は、多世代が活躍できる仕組みつくりを杉並区のコミュニティーつくりを通して行おうとしているため、国の方針ともマッチするのではと考えているので、ニーズは充分あると思いますし、一番大事なことは伝え続けていくことだと。 現在の取り組みとしては、武蔵野大学と連携し、当事者の実態を明らかにする調査研究を行なったり、行政にダブルケアの実態を認知してもらうことを目的に助成金を申請し、啓発するワークショップを主催したり、セミナーに講師として登壇させていただいたりとしています。

今後は、行政と共に公共事業などの取り組みを展開していくことが目標です。


起業当初の働く環境はどうでしたか?

起業当初から、本社登記場所兼オフィスとしてfactoriaで仕事をしています。

まだ収益が出ていないのに、オフィスを借りるのはどうかと悩みましたが、自宅以外の場所を借りてきちんと登記をすることが銀行や取引先からの心証に繋がると考え、当初からオフィスを借りることは決めていました。

登記して良かったことは、ビジネス的な視点を持つメンバーと情報交換ができるということです。

それは、factoriaが1つのプラットフォームやチームの様に機能している部分があるので、factoriaだから良かったということかもしれないですね。運が良かったです。

 

そんなfactoriaとの出会いのキッカケを教えてください。

杉並区では、コワーキングスペースとして登記できる場所があまりないことや別のコワーキングスペースを内覧に行ってみましたが、ちょっと違うかなと。

そんな時に、西荻窪にfactoriaがあった!と思い出し、子供を抱えてふらっと内覧に行ったんですよね。そうしたら、メンバーも優しくて、雰囲気も良くて、コワーキングスペースの運営者である仁美さんと出会って、ここで契約しようと決めました。 確か、瞳さんが私と話している最中は、お子さんをfactoriaのメンバーがあやしてくれていましたよね? はい。私が内覧中は、うちの子供はメンバーさんがあやしてくれて、雰囲気もいいし、メンバーが優しいし、自分のやりたいことに精通している人がいて良いなと。 一言でいうと運が良いという話なのですが、私の目標として「子どもと高齢者の遊び場つくり」を掲げていたのですが、まだまだ私自身が精通していない分野が多いこともわかっていたので、「遊び場つくり」の実現のためには、不動産・建築・金融・飲食の分野に精通することが必要だと考えていました。

そんな中、閃きで伺ったfactoriaで、仁美さんやメンバーさんと出会い、話を伺い「見つけた!!出会いたい人に出会えた!!」と初対面で思い、factoriaで登記することを決めました。


瞳さんのfactoriaの使い方はどうですか?

主には、本社登記場所とワークスペースとして利用しています。また、NPO法人の総会場所や主催するダブルケアのイベント会場としても使っています。

 

介護、看護、NPO法人設立とキャリアチェンジしてきた瞳さんから、働き方やキャリアについて悩んでいたり、考えている人への伝えたいことやメッセージを伺えますか?

創業から間もないし、今でも働き方に悩むこともあるのですが、良い意味で、factoriaの様な多様な人が集ったり、事業に合わせて多様な使い方ができる場所を活用するのもいいのかなと思います。

 

最後に、瞳さんの今後の夢を聞かせてください。

子供から高齢者までが集う地域密着型複合施設の運営や杉並区や行政と連携し、ダブルケア支援制度のマニュアルを作成し、社会実装できる仕組みを作っていきたいです。

 

会社概要

代表理事    室津瞳 創業      2019年5月 事業内容    ・大学と連携しダブルケアの実態調査、研究事業

        ・セミナー事業

        ・多世代コミュニティー作り

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